ものがたり
昭和28年初春。古物商の今川雅澄は、明慧寺の僧侶、小坂了稔から依頼を受け、箱根山中の仙石楼に投宿する。逗留していた医師、久遠寺嘉親と碁を打つ日々を送りつつ、了稔からの続報を待つ今川。
しかし、そんな彼の前に突如現れたのは、雪の中で座禅を組んだまま死んでいる了稔の遺体であった。周りに足跡はなく、不可解な現場に旅館は騒然となる。
一方、時を同じくして箱根を訪れていた憑物落としの古本屋、京極堂こと中禅寺秋彦と、その友人で作家の関口巽も事件に巻き込まれてしまう。更に、県警の捜査に業を煮やした久遠寺が、探偵の榎木津礼二郎を呼んでしまったことにより、榎木津も事件に関わることに。
やがて一行は、僧侶が次々と殺される箱根山連続僧侶殺害事件に飛び込んでいくこととなるのだった――。